「じゃりじゃりとバーベキュー」
学生時代7年間近所の海でアルバイトを
していた。
最初の頃、バイトが終わると先輩と砂浜に
穴を掘ってそこに網をかけてよく
バーベキューをした。
当たり前だが肉も野菜もいつも
じゃりじゃりな食感だった。
砂浜の砂まじりのじゃりじゃり肉と
じゃりじゃり野菜をじゃりじゃり
ほおばりながら、ほぼほぼ話題は、
どんだけ魅力的な女性に遭遇出来たのか?
どんだけその魅力的な女性とお話が出来たか
の一点集中だった。
僕たち田舎者に
とっては、夏だけが都会からの洗練された
女性に遭遇出来る唯一無二のチャンス
だったからだ。
それから何年も何年も経って、ある日、
友人とBBQコンロなんてものを使って
バーベキューをしていた。当然だが肉も
野菜もじゃりじゃりしていなかった。
だけど突然、そうだ突然だ、
あのじゃりじゃりが無性に懐かしくなって
しまった。
実は人生って思い通りにいかないで
少しじゃりじゃりしている方が
心地よいのかもしれないと、
ふと思ってしまった。